Jクレジット制度と発行支援サービスの活用:森林のCO2吸収を「クレジット化」して収益に!
2025年8月18日
森林の適切な管理によるCO2吸収量を「Jクレジット」として可視化・収益化する取り組みが注目されています。林業関係者である森林組合や中小林業法人が、自らの森林で吸収したCO2をクレジット(排出権)として発行し、企業に販売できる時代です。
本記事では、その前提となるJクレジット制度の概要と林業者が発行主体になれる意義、発行に伴うハードルと支援策、さらに当社ログチップ合同会社が提供する発行支援サービスの内容と強みについて解説します。
森林経営に新たな収益源とインセンティブを生み出すヒントにしてください。
Jクレジット制度とは?森林が発行主体になる意義
Jクレジット制度とは、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を国が認証し、「クレジット」として取引可能にする制度です。具体的には、省エネ設備の導入や再生可能エネルギー利用による排出削減、そして適切な森林管理によるCO2吸収などの成果がクレジット化されます。林業分野では、間伐や植林など森林を適正に手入れすることで増加したCO2吸収量をJクレジットとして申請・認証し、発行することができます。
林業者がこのクレジット発行主体となる意義は大きいです。森林のCO2吸収という環境価値を「見える化」して売買できる形に変えることで、クレジット売却による収入を得ることができるからです。クレジットの売却益は新たな森林整備の資金に充当できるため、林業経営の新たな収益源となり、持続可能な森林管理の推進力になります。実際、Jクレジットの登録期間は最長16年と長期にわたるため、継続的に取り組めば定期的な収入を森林から得ることも可能です。このように、林業者にとってJクレジットは「森林のCO2吸収をお金に換え、森に再投資する」好循環を生み出す手段となり得ます。
国が2050年カーボンニュートラルを目指す中、森林が担う役割を経済的価値として認識し、林業現場に還元する意義はますます高まっています。
発行に伴うハードル:面積・手間・費用は支援で乗り越えられる
もっとも、Jクレジットを実際に発行(創出)するには一定のハードルが存在します。まず、対象となる森林の規模や計画が要件を満たす必要があります。具体的には、森林経営計画の策定や長期的な管理継続が求められ、CO2吸収量にして年間平均で少なくとも100トン以上の規模が必要とされるケースがあります(目安として数十ヘクタール程度の適切管理森林が該当し得ます)。また、プロジェクト計画書の作成、第三者機関による妥当性確認(検証)といった登録・認証手続きに手間と時間、費用がかかる点も大きな課題です。実際、Jクレジットの登録申請から認証が下りるまでには3~6か月、クレジット発行まで1~2年程度を要するケースもあり、日々本業で忙しい林業者にとって手続きの負担は無視できません。必要書類の準備や審査対応が煩雑で、「途中で登録そのものを断念してしまう」例も少なくないと指摘されています。
さらに、苦労してクレジットを発行できても肝心の売却先(買い手)を見つけることが別のハードルとなります。現在、国内の森林由来Jクレジットの発行量は他分野に比べて少ない状況ですが、その理由として「創出者側にとって手続きが複雑であること」に加え「クレジットの販売先開拓が困難であること」が挙げられています。せっかく森で吸収したCO2をクレジット化しても、買い手企業を探して販売契約を結ぶまでに至らなければ収益化できません。このように「発行までのハードル」と「売却までのハードル」の両方をクリアする必要がある点を押さえておく必要があります。
しかし安心してください。こうしたハードルは各種支援策の活用によって乗り越えることが可能です。
まず費用面では、国が中小企業や自治体等を対象に審査費用の補助制度を設けています。条件を満たすプロジェクトであれば、登録時の妥当性確認審査費用の80%(自己負担上限20万円超は追加補助)、クレジット認証時の検証費用は100%が補助されます。
例えば100万円の検証費用がかかるケースでも実質自己負担なく進められる計算で、費用面のハードルは大幅に低減します。また手続き面でも、Jクレジット制度事務局による無料のコーチング支援(計画書作成の助言)や、各地の林野庁・経産局によるハンドブック提供など、情報支援が整いつつあります。そして何より心強いのが、次章で述べる民間の代行支援サービスの存在です。
こうした支援を活用すれば、十分な森林をお持ちの林業者であればJクレジット創出に現実的に取り組むことができる環境が整ってきています。
代行支援サービスの活用:専門家に任せて手続きを円滑に、販売先も紹介
近年、Jクレジットの創出・流通をサポートする民間サービスも登場し、林業者の心強い味方となっています。具体的に民間の代行支援サービス事業者は、カーボンオフセット支援サービスの一環としてJクレジット創出支援を提供しており、プロジェクト計画書の作成からモニタリング報告書作成まで必要書類の作成を一括サポートしています。事務局とのやり取りや審査機関との調整も代行し、複雑な手続きを丸ごと担ってくれるため、創出者(林業者)は本業に専念しながらプロジェクトを進めることができます。さらにクレジットの販売支援や補助金申請代行まで対応可能で、プロジェクト創出に関連する幅広い業務をトータルサポートする体制を整えています。実際、このようなサービスに依頼すれば、煩雑な申請書類の準備から専門機関との調整まで任せることができ、「手間とコストがかかる」というJクレ発行の課題を大きく軽減できるでしょう。
また、「森未来」(株式会社森未来)という林業ベンチャーは、森林の環境価値を活かすプラットフォーム事業の中で森林由来Jクレジットの取引支援に取り組んでいます。森未来は木材流通のITプラットフォーム運営などで培った知見を活かし、森林所有者(クレジット創出者)とCO2排出削減に取り組む企業(クレジット購入者)をつなぐ役割を担っています。具体的には、適切な森林整備によって創出されたクレジットを企業のCSR・カーボンオフセット需要とマッチングさせることで、販売先確保まで含めた支援を行っています。森未来のように「森林のプロ×カーボンクレジット」の知見を持つ企業に相談すれば、林業者自身では開拓が難しいクレジット購入希望企業を紹介してもらえるため、販売面の不安も解消されます。
このように、競合各社もそれぞれの強みを活かした支援スタイルで林業分野のJクレジット創出を後押ししています。複雑な手続きは専門サービスに任せ、販売マッチングも支援を受けることで、林業者は安心してJクレジット発行に取り組めるのです。実際、森林由来Jクレジットが伸び悩んでいた要因である「手続きの複雑さ」と「販売先の不透明さ」は、こうした代行支援の活用によって着実に解消されつつあります。林業者にとっては、信頼できる支援パートナーを見つけて二人三脚で進めることが、Jクレジットプロジェクト成功の近道と言えるでしょう。
ログチップ合同会社のJクレジット発行支援:現場を知るパートナーの強み
こうした支援サービスの中で、当社「ログチップ合同会社」も森林組合・林業法人向けにJクレジット発行支援サービスを提供しています。ログチップ合同会社の支援内容は大きく分けて3つあります。
- コンサルティング(事前相談・計画立案): まずは無料相談を通じて、保有森林でJクレジット創出が可能か、必要な手続きや期間、見込まれる吸収量・収益規模などを丁寧にご説明します。森林経営計画の有無や森林の状況を確認し、プロジェクトの適格性や最適な方法論(森林経営活動・植林活動・再造林活動のいずれか)の検討をサポートします。初めての方にも制度のポイントや留意点をわかりやすくお伝えし、「プロジェクトが無事成立するか・採算に合うか」といった初期段階の不安解消に努めます。
- 手続き代行(書類作成・審査対応): 計画策定後は、Jクレジット事務局へのプロジェクト登録申請から認証取得までの一連の手続きを代行します。具体的には、必要書類となるプロジェクト計画書・モニタリング計画書を当社が作成し、林業者様に内容をご確認いただきながら提出します。審査機関との調整や現地確認対応、事務局とのやり取りも当社が窓口となって実施するため、面倒な事務手続きはすべてお任せいただけます。補助金の申請が必要な場合はその手続きも代行し、経済的負担の軽減まで含めて支援します。
- クレジット販売支援(購入候補の紹介): 晴れてクレジットが発行された後も、確実に売却して収益化できるようサポートする点が当社サービスの特徴です。弊社独自のネットワークを活かし、カーボンニュートラルを目指す企業や自治体など購入希望者をリストアップしてご紹介します。クレジットの量や価格の交渉、契約手続きについても助言し、初めてクレジットを販売する林業者様でも安心して取引を進められるよう伴走します。販売先探しに苦労する心配がないため、発行したクレジットを確実に収益につなげられるのです。
以上のように、ログチップ合同会社は「計画相談」から「申請代行」さらには「販売先紹介」まで、一貫した支援体制で林業者のJクレジット創出をサポートします。その強みは、単なるIT企業やコンサル会社ではなく実際に木質バイオマス発電や森林事業の現場を知る事業者である点にあります。私たちはバイオマス燃料となる木質チップの流通管理や森林資源の活用に日頃から携わっており、現場の課題やニーズを肌で理解しています。例えば、「間伐のタイミング」「木材の利用先」「植林計画」といった要素がCO2吸収量やクレジット創出にどう影響するか、机上の知識だけでなく現実の林業経営の観点からアドバイス可能です。現場目線と専門知識の両方を兼ね備えたパートナーとして、林業者の皆様と一緒に最適なプロジェクトを設計し、確実なクレジット発行・販売まで導きます。
加えて、ログチップ合同会社は林業界・木材業界のネットワークを有しており、地域の森林組合様や材木市場、製材所、バイオマス発電事業者等との連携実績があります。これにより、森林整備の現場で発生する課題(作業コストや人手不足など)にも理解が深く、必要に応じて他事業者との連携支援も可能です。単に書類上の手続きを代行するだけでなく、「森林経営の実情に即したきめ細かな支援」を提供できる点で、他社にはない信頼感を築いています。
おわりに:森づくりの新たな収益源としてJクレジットを
適切な森林管理によるCO2吸収量をクレジット化し収益化することは、林業者にとって自社の森の価値を高めるチャンスであり、ひいては日本の脱炭素と森づくりの両立に貢献する取り組みです。これまでハードルが高いと思われていたJクレジット発行も、国の補助や専門サービスの力を借りることで、決して手の届かないものではなくなりました。ぜひ、この機会に自社の森林資源の可能性を見つめ直し、Jクレジットへの取り組みを検討してみてください。
ログチップ合同会社は、現場を理解する良きパートナーとして皆様の挑戦を全面的に支援いたします。